妻のDV被害に悩む夫が急増⁉被害者なのに自分が悪者にされる真相とは

「DV」はドメスティックバイオレンスの略で、家庭内やカップルの間で行われてしまう暴力のことです。
従来のイメージでは、男性が女性に暴力を振るい、女性が被害者になるというイメージが根強く残っているかと思いますが、現在、警察庁が相談を受けたDV事件年間8万件以上のうち約2万件は男性が被害を受けているという相談です。
つまり、DV被害の約4分の1が男性、つまり夫側が被害者ということになります。
この記事にたどり着いた皆さんも、もしかしたら妻のDVに悩まされている一人かもしれません。中には、「自分は男で、力もあるはずなのに情けない・・・」とご自身を責め、引け目を感じてしまっている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際には妻からの暴力に悩まされて被害を受けているという問題は非常に多く起こっています。女性である妻から暴力を振るわれているという事実は男性のプライド的に自分を許せず、なかなか周りに相談することができずに妻からのDVが明るみに出にくいという問題もあります。
さらに厄介なことに、最近は「悪徳弁護士」とも言えるような弁護士が利益目的のためにDV妻に入れ知恵をして、本来はDV被害者である夫を悪者に仕立て上げ、慰謝料請求などの訴えを起こしているという事案も出てきています。
今回は、妻からのDVに悩んでいる男性のために、DVを繰り返す妻の実態やDV被害を受け続けることによるダメージ、DV妻への対応として知っておくべき事を解説していきます。さらに、実際に当事務所にご相談に来られた方の事例として、DV被害者である夫が悪者にされ法的にも追い詰められてしまったという信じられない事案についてもご紹介していきます。
Contents
家庭内で起こるDV被害の実態
冒頭でもお伝えしたように、DVと聞くと男性から女性に対して行われる暴力というイメージが強いですが、最近では男性の被害も急増しています。ここでは、DV被害の推移や実態について見ていきましょう。
DVは今や女性だけの被害ではない
DV被害は今や女性だけの被害ではなく、男性も被害を受けていています。実際、妻から夫へのDV相談件数は、DV防止法が2001年に成立してから年々増加し続けているのです。
最近の件数だけで比較しても、男性からのDV相談件数は平成28年に10,496件、平成29年に12,440件、平成30年に15,964件、令和1年には17,815件となっていて、令和2年には19,478件と全体の23.6%も占めているのです。平成28年から比べただけでも9000件近くも相談件数が増えています。
しかも、夫が被害を受けるケースでは、自分への情けなさや妻をこれ以上刺激したくないという理由から誰にも言えず一人で抱え込むケースが多く、明るみに出ていない可能性が高いため、実際のDV被害の件数はもっと多いことが予測できます。
妻からされるDV被害の実態
DVは、身体的DV・精神的DV・経済的DV・性的DVの主に4つに分類されますが、妻が夫に対して行うDVは身体的DVと精神的DVの2つが多くなっています。
力では女性は男性にかなうことは基本的にありませんが、物を投げつけたり、包丁やハサミを振り回したりなど道具を使うことで立派な身体的DVが成立してしまいます。
また、「稼ぎが少ない」「役立たず」などという暴言を吐き続けるという精神的DVをするケースは非常に多いです。妻が自分の意見を通すために「死んでやる」と脅迫する行為も状況によっては、精神的DVに該当します。
妻からのDVで厄介なのは、日常的に妻がDVを行っていたとしても、夫が一度でも反撃し妻にケガをさせてしまえば、夫のDV(厳密に言えばDVではなく正当防衛であることが多いのですが)がクローズアップされて夫が悪者にされてしまう可能性が高いという点です。
DV被害を受けた夫が受けるダメージとは
DVの被害を受けると、身体的にケガをさせられるという目に見える被害だけに気を取られがちですが、実際はもっと根が深い問題をはらんでいます。
男性、女性関わらず、DV被害を受けると加害者からマインドコントロールされてしまい、時間とともに共依存の関係に陥ります。そして、なかなか被害に気づくことができなくなります。
DV被害を受け続けていると、「妻が暴力を振るうのは自分が悪いからなのかもしれない」「自分の稼ぎがもっとあれば、妻は怒らないのかもしれない」と自分を責めて罪悪感を持つようになります。そして、その中で暴力がくり返されるのです。
その結果、心的外傷後ストレス障害を発症する可能性が高くなり、そこまで来てしまうと完全に回復できるまでにかなりの時間が必要になりますし、自力での回復は難しくなってしまいます。
「DVとはいえ、少しの打撲や傷で済んでいるから」と甘く見ていると、自分自身でも気が付かないうちに被害が悪化する恐れもあるのです。
DV妻からの被害者であるはずの自分が悪者に仕立て上げられたケース
ここからは、当事務所に実際に寄せられたご相談を元に、妻からのDV被害に悩まされ、最終的に夫が追い詰められた事案をご紹介していきます。
鈴木智也さん(仮名38歳)は1年ほど前から妻の鈴木加奈さん(仮名35歳)からの暴力に悩まされていました。加奈さんは地雷をいくつも抱えているような感じで、ふとしたことですぐにキレてしまい、いったんキレると手が付けられなくなっていたそうです。
「妻がいつキレるのか、なぜキレるのかは、今でもわかりません。
たとえば、妻が用意してくれる食事を食べていて、『美味しいね』と褒めたんです。自分では良いことを言っていると思っていました。すると、
『これは近所の●●さんにお裾分けしてもらったものなの。あなたは私が作った料理よりも他人が作った料理の方が良いんでしょ!!!』
とキレてしまい、料理が乗っている皿を私に投げつけ、挙句の果てに包丁を振りかざす始末でした。私は、一度妻がキレ始めるとどうにもできないとわかっているので、『ごめん、ごめん』と謝りながら自分の身を守るのに必死になるばかりでした。」
このような日々が1年近く続いていたある日、ついに事件が起きました。智也さんが自己防衛のために取った行動のせいで、智也さんが悪者にされてしまったのです。
「残業続きで疲れがたまっている日、熱を測ったら微熱があったので、自分は少し早めに退社させてもらいました。妻も働きに出ているので妻よりも先に家について、寝室で休んでいたんです。すると、しばらくして妻が帰ってきたと思ったら、突然寝室に荒々しく入ってきて私に馬乗りになりました。
『私だって毎日仕事で疲れて帰ってきてる!だけどちゃんと毎日料理してやってるのに、お前は帰ってきたらのうのうと昼寝かよ・・・!!!』
と叫びながら殴りかかってきました。
微熱で意識も朦朧としていて、とにかくこのままだと殺されるかも、と思った私は、必死で自分を守ろうとして気が付いたら馬乗りになった妻を押し倒していました。もちろん、すぐに謝りましたが、妻からは
『絶対に許さない。慰謝料を払ってもらう』
と鬼の形相で睨まれました。」
智也さんの体調が戻り、妻も落ち着きを取り戻したかのように見えたある日、弁護士から智也さんに連絡が入りました。内容は、「妻の加奈さんに振るった暴力に対しての慰謝料請求」というものでした。
実は、馬乗りになった加奈さんを押し倒した以外にも、加奈さんから殴られたときに腕を強く握って防御したり、腕を押さえつけたりといった自己防衛は何度もあったようなのです。そして、弁護士からの入れ知恵で加奈さんがそれを病院に行ってDVの証拠としていくつも準備していたのです。
弁護士としては、加奈さんが顧客となり智也さんからのDVをでっち上げ、慰謝料を請求できれば、弁護士報酬が入りますので、加奈さんに入れ知恵をして自分の思い通りにしようとしたのでしょう。
智也さんは、弁護士相手では、どれだけ自分が正しく、自分こそが被害者だと訴えたとしても法律を盾に自分が暴力を振るって悪者だということにされてしまう、と感じ、証拠収集と交渉の専門家である私たちに助けを求めてきたのです。
私たち調査員は、妻の加奈さんの普段からのDVの証拠収集だけでなく、過去に付き合っていた元カレからの証言の証拠や、悪徳弁護士とのつながり、その弁護士の素行についても調査を重ね、智也さんを守るための証拠を集めていきました。
そして、妻の加奈さんとの話し合いや弁護士との交渉を証拠を武器に行っていき、智也さんが悪者にされてしまうという最悪の事態を回避することに成功しました。
私たち調査員は、今回の件を調査によって解決できたことに安堵しつつも、このような濡れ衣を着せられて泣き寝入りしているDV被害者の夫が今後も増えていくのではないかという不安が襲ってきたのも事実です。
あなたの妻がいきなり離婚をしたいと言い出したり、突然慰謝料請求だと騒ぎだしたりした場合、もしかすると背後に「離婚弁護士」のような黒幕が存在しているかもしれないのです。
関連記事:「離婚弁護士」の真実|離婚を斡旋して慰謝料と養育費をピンハネ!?
妻からDVを受けている被害夫が知っておくべきこと
前の章で、鈴木智也さんのDV被害事例をご紹介しましたが、妻からDV被害を受けている場合、正しい知識を持っているかどうかでその後の対処がうまくできるかどうかが大きく変わってくるということが明らかになりました。
ここでは、DV妻との関係に悩んでいる方が自分の身を守るために知っておくべきことについてまとめていきたいと思います。
DVを受けているという証拠を押さえる
DV妻と今後離婚しようとしている場合も、DVを改善してもらって夫婦関係をやり直したいと考えている場合も、DV被害を受けているという事実を証明できる証拠を取っておくことは必要不可欠です。
ただし、いつ妻からのDVや暴言が始まるのかの予測がしにくい上に、DVが始まってすぐに証拠を取るための動画を撮影するのは至難の業だと思いますので、あらかじめ防犯カメラなどを設置するのがいいでしょう。
証拠確保のためのカメラの設置や機材の使い方については、証拠収集のプロである探偵に依頼するのがお勧めです。どのような角度にすればいいのか、どのようにカモフラージュすれば妻にバレないかなどのアドバイスももらえるでしょう。
DVに耐えられないことを伝える
DVの加害者の多くは、自分自身がしている行動がDVだという自覚を持っていないことがほとんどです。
むしろ、夫が自分の言うことを聞いてくれない、自分ばかり我慢している被害者だ、という意識さえあることも珍しくありません。
そのため、妻の取っている行為が怖いこと、治してほしいこと、治してもらえない限り夫婦としてやっていくのが難しいことなどを冷静に伝えておくことが重要です。
DV妻と離婚を考えている場合も、夫婦としてやり直したい場合も、DVの証拠があるからといって、こちらが感情的になって話をしようとしたり、妻を責め立ててしまったりすると逆効果です。
こちらから手を出すことは絶対にしない
日常的に妻からDVを受けていたとしても、自分から手を上げたり、暴言を吐いたりすることは絶対に辞めましょう。
普段妻からの攻撃に何度も耐えていて、自分はたった一度だけ手を上げたという場合であっても妻が警察や弁護士に「夫から殴られた」と告げれば夫が悪者にされてしまう可能性が高いのです。
こちらから手を出すことはせず、着々と妻からDVを受け続けているという証拠を押さえておくのが賢明です。
「ただ妻からの暴力に耐え続けて何もしてはいけない」という意味ではなく、相手に揚げ足を取られないよう慎重に解決に向けて準備をするべきだ、ということです。
まとめ
今回ご紹介してきたように、妻からのDVに悩まされている男性は意外にも多く、決して珍しいことではありません。
もちろん、被害者である夫の皆さんが、ご自身を責めたり、情けなく思ったりする必要は一切ないのです。
ただ、妻からのDVを放っておくと、あなたの精神状態に多大なる悪影響を及ぼしてしまう恐れがあるだけでなく、あなたが悪者にされて法的に追い詰められてしまう危険性もあるため、できるだけ早く専門家に相談したほうがいいと言えます。
今回ご紹介した事案のように、悪徳弁護士とも言える弁護士たちがDV妻に入れ知恵をして、被害者である夫から慰謝料をむしり取ろうとするケースも出ていますので、決して泣き寝入りすることなく、信頼できる専門家に相談し、決してご自身だけで抱え込まないようにしてくださいね。