社員に割り当てた社用車にGPS|これって違法?GPSを発見する方法とは

営業職などで取引先を回るための車を会社から自分専用の社用車として与えられている方も多いと思いますが、なんだか最近、自分の行動が会社に筒抜けになっているような気がすることはありませんか?
それは、もしかすると社用車にGPSが仕掛けられているからかもしれません。
実際、「外回りの営業職の社員たちが自分の目の届かないところでサボっていないかどうか調べたい」という考えから社用車にGPSを仕掛ける経営者の方も増えてきています。会社としての方針は理解できても、やはり監視されていると思うと不愉快ですし、勝手に取り付けるなんて違法にならないのか気になりますよね。
そこで今回は、社用車にGPSを取り付ける理由や会社にとってのメリットや注意点、自分の社用車にGPSが取り付けられているかどうかを調べる方法、そして勝手にGPSを取り付けられた場合に会社は訴えられるのかどうかについて詳しく見ていきましょう。
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社用車にGPSを発見!?なぜ会社は社用車にGPSを取り付けるのか
ある日、自分専用の社用車に乗ったとき「あれ?これなんだろう・・・」と不審に思ったものを発見したことがある方もいらっしゃるでしょう。
それはもしかすると、会社が仕掛けたGPSかもしれません。
会社がGPSを仕掛ける主な目的は、社員たちの行動を把握するためです。社用車が今日はどこを移動したのか、どの会社に営業周りに行ったのか、社用車がどのようなルートを走ったのか、などのデータから社用車を使用した社員の行動が把握できるのです。
会社としては、このように社員たちの行動を把握することで、サボっている社員はいないか、無駄のないルートを通っているのか、などを知ることができ、不正防止にもつなげることができます。
しかし、勝手に仕掛けられた社員たちからしてみれば、不愉快に思う方がほとんどでしょう。「なんだか最近、自分の行動がすべて社長に見抜かれていて気味が悪いな」と感じている方は、自分の社用車にGPSが仕掛けられているからかもしれません。
会社からはっきりとGPS設置について通告があれば納得もできるものの、何も告げられずに勝手にGPSを仕掛けられているのであれば信用問題にもつながりますので、できるだけ早く発見しておくべきでしょう。
次の章では、社用車に取り付けられたGPSの発見方法や仕掛けられやすい場所についてお伝えしていきますので、不審な点を感じている方はぜひチェックしてみてください。
社用車に取り付けられたGPSの発見方法
社用車にGPSが仕掛けられているかどうかを調べる方法としては、主に以下の3つの方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
目視で発見する
1つ目の方法は、目視で見つけ出す方法です。誰でもすぐにできる方法ですし、お金もかからないのでまずは実際にやってみてください。
車に仕掛けるタイプのGPSはある程度の大きさがあるため、目視で見つることも不可能ではありません。車内やボンネットの中など、普段あまり見ないような場所にいつの間にか設置されているケースが多いので、目視で調査をすることでも見つけられることも多いです。特に、素人が仕掛けたケースではあまり細工をせずに仕掛けるので、プロの目がなくても見つけられることもあるでしょう。
具体的にチェックしてほしいポイントとしては
・ダッシュボードの中
・座席の下や内部
・サンバイザーの中
・ルームランプの中
・トランクの内部
・タイヤの周辺
・バンパーの裏
などが特に仕掛けられやすいところです。
目視でチェックしてみて、車内に見慣れない不審物があった場合、会社によって仕掛けられたGPSの可能性があります。
GPS発見器を使って見つける
GPSの取り付けがうまかったり、専門業者に依頼して取り付けられていたりする場合はなかなか目視では発見できないことも多いです。その場合に有効なのがGPS発見器を使って見つけるという方法です。
インターネットの通販サイトや電気屋などでGPS発見器を購入できますので、目視では発見できなかった場合は試してみてもいいかもしれません。
しかし、GPS発見器の購入には安くても2~3万円かかってしまいますし、仕掛けられたGPSのタイプによっては発見器で見つけることができないものもあります。GPSの機種には「GPS発信機」と「GPSロガー」という2つの種類があり、後者のロガータイプだと位置情報を発信しておらず電波を出していないので発見器で見つけることができません。
そのため、お金はかかるけど見つけられないかもしれないというリスクのあるGPS発見器よりも、次にご紹介する探偵などのプロに依頼する方法のほうが安い上に高い確率でGPSを発見できるでしょう。
プロによる発見調査で見つける
GPSは仕掛けられたものの種類によっては、素人ではなかなか目視では見つけるのが難しく、発見器を使うにしても高額な機材代もかかってしまうため、確実に発見をしたい場合はGPS調査のプロである探偵に依頼すると良いでしょう。
特に、仕掛けるのがうまかったり、専門業者に依頼して設置してもらったりしている場合、座席の中や機器の中、バッテリーと連結させている場合もあり、素人では到底確認できないケースもプロの探偵であれば専用の機材やノウハウを駆使して隅々まで調べて発見してくれます。
参考記事:GPS発見は業者に依頼しよう!安心できる業者選びとプロに任せるメリット
社用車にGPSを発見!会社を訴えることはできる?
「なんだか車にGPSが仕掛けられているような気がする」と不審に思い、調べてみた結果、やはり社用車にGPSが仕掛けられていたことがわかったら、やはり不愉快ですよね。
勝手に社用車にGPSを仕込まれていたら、会社から信用されていないと感じ失望してしまいますし、常に監視されているようでストレスが溜まってしまうかもしれません。
中には、「プライバシー侵害だ!」と考えて会社を訴えたいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
では、会社が社用車にGPSを仕掛けることは違法なのでしょうか?それとも合法なのでしょうか?
結論から申し上げますと、法律上は社用車にGPSを仕掛けることは可能で、労働者に説明する義務もなければ了解を得る必要もありません。法律上、社用車は会社の所有物とされているため、会社経営者の指揮監督の元で維持管理されるべきものとされているからです。
しかし、社員個人の持ち物である自家用車に勝手にGPSを取り付けている場合は違法行為にあたります。また、勤務時間以外の行動についても監視されているのであれば、プライバシー侵害にあたる可能性も出てきます。
また、社員の行動を把握することで経営者が嫌がらせ行為をしたりセクハラ目的だったりした場合は、当然会社を訴える十分な根拠になりますので、法律の専門家である弁護士に相談するべきと言えるでしょう。
経営者の方向け|社用車にGPSを設置する上での注意点
ここからは、社用車にGPSを仕掛けるかどうか悩んでいる、もしくはすでにGPSを社用車に設置されている会社の経営者の方向けにお話をしていきたいと思います。
ここまででお伝えしてきたように、経営者にとって社用車にGPSを取り付けることは、社員たちの行動を把握することにつながりますので、サボるなどの不正行為を発見する手助けになりますし、業務の効率化にも役立てることができるのは確かです。
しかし、設置方法や運用方法を間違えてしまうと、社員たちから反感を買うのは避けられませんし、プライバシー侵害などで訴えられてしまうリスクもありますので、慎重に対応していく必要があるでしょう。
社員たちから反感を買わず、不正防止にも役立てるためにはどのような点に注意していけばいいのでしょうか。
業務時間内に限定して行う
会社に勤める社員は、業務時間中、会社の業務に専念する義務がありますので、業務に専念させることを目的として、会社が社員の位置を把握しておくことは違法ではありません。電話連絡で位置を把握している会社もあるかもしれませんが、GPSによって行うほうが圧倒的に便利ですし、手間もかかりませんので、業務時間中の利用であれば問題ありません。
しかし、業務時間外までGPSで社員の位置情報を取得してしまうと、違法となるおそれがでてきます。社用車や営業社員の自家用車にGPSを取り付ける場合は、位置情報の取得が完全に業務時間内に限られるように注意して利用していく必要があります。
具体的には、GPSを取り付けた社用車を私用で使うのは禁止したり、社員所有の車にGPSをとりつける場合は退社時に必ず取り外したりなど配慮しなければいけません。
このような配慮を徹底し、勤務時間内のみの使用をできていれば、「違法なプライバシー侵害だ」と訴えてくる社員に対してもしっかりと説明して理解を求めることができます。
逆に、GPSを設置することで、業務時間中に長時間公園で昼寝をしていたり、パチンコに行っていたり、ショッピングセンターに行っていたりという事実が発覚すれば、それは社員が違反行為をしていることになりますので、懲戒処分の対象になる可能性もあります。
労務管理を目的とする
社用車にGPSを設置するのは労務管理を目的とするものでなければなりません。GPSを設置して位置情報の取得が正当であると言えるものとしては、
・社用車の不正利用の防止
・サボりの防止や把握
・営業先の把握
・業務効率の向上
・緊急時の居場所の把握
などです。
これ以外に、例えば社員の居場所を把握してハラスメントをしようとしていたり、不当な評価を与えるための目的だったり、嫌がらせ目的だったりする場合は、業務時間内での使用であったとしても違法となり、会社が訴えられることになりますので、労務管理以外の目的での設置は絶対に辞めましょう。
社員たちに目的を説明する
社用車にGPSを設置することによって社員の位置情報を取得することは、使い方と目的を間違えなければ合法ですが、だからと言って社員たちが快く受け入れてくれるとは限りません。
特に、社員たちに黙って勝手に社用車にGPSを設置していたのだとすれば、大きな反感を買うでしょう。GPSを仕掛けられたことを知った社員たちは「監視されているようだ」「会社に信用されていない」と不快に感じる人も多いはずです。
そのため、GPSを設置する際は、設置する旨を事前にしっかりと全員に通告し、その位置情報の利用目的についても説明して理解を求めるようにしましょう。
この際、位置情報を会社がGPSによって把握することで社員たちにもメリットがあること(社用車が走ったルートを自動で把握できるため、日報を自分で作成する手間が省けるなど)や、必要最低限の情報しか取得しないことを合わせて説明することで、社員たちの理解を得やすくなります。
就業規則に明記する
社用車のGPS設置も含め、会社全体に適用されるルールは就業規則に明記して全社員に周知する必要があります。就業規則にあらかじめ定めて明記することで、社員たちの理解も得ることができますし、やましいことではないと安心感も与えることができるでしょう。
会社としても就業規則に明記できることである以上、やましいことではなく、後ろめたさを感じたり隠したりする必要もありません。
細かすぎる注意はしない
社用車に取り付けたGPSの位置情報を見ていると、どうしても社員の行動一つ一つが気になってしまうでしょう。外回りの営業をしている最中に少し寄り道をしたり、トイレ休憩を長めに取ったり、タバコ休憩をしたり、コンビニに寄ったりなど、業務以外の行動を取っていることが目についてしまうかもしれません。
しかし、このような少しの休憩やブレイクタイムについては誰でも取りますし、あまり事細かく指摘するのは辞めましょう。
少しの休憩やちょっとした寄り道について口うるさく注意指導をしすぎると、社員からプライバシー侵害だと反感を買ってしまいますし、監視されているというストレスが溜まってしまいかえって業務の非効率化を招きかねません。
少しの休憩や息抜きは、業務効率を上げるうえで必要不可欠なものなので、社員たちを信用してあまり厳しく管理しすぎないように注意してください。
社用車にGPSを設置する目的は、社員たちをガチガチに縛り付けることではなく、業務を効率化すること、本当の意味での不正行為を防ぐことにあるはずです。
そして、もしGPSの情報から不正行為と思われる行為が発覚した場合は、すぐにより詳細な調査を実施することをお勧めします。その際は、不正が疑われる社員に対して行動調査を行っていき、不正行為についての明確な証拠を取るべきですので、探偵などの専門家に相談するようにしましょう。
まとめ
今回は、社用車に取り付けられたGPSを発見する方法や、GPS設置についての合法性、GPSを社用車に取り付けたいと考えている経営者の方に向けてその注意点などをまとめてきました。
営業職の方で、勝手に自分の社用車にGPSが仕込まれているかもしれないと感じた場合はすぐに発見のための調査をするべきですし、業務効率化のためにGPSの設置を検討されている経営者の方は、違法にならないように気をつけながら設置を進めていくようにしてください。
社員たちの不正行為についてより詳細に調べたいという場合は、ぜひ行動調査の実施も検討してみてくださいね。